現代の物理学における時間とは、過去から未来へと続く出来事の連続です。物理学では時間は第4の次元とされますが、哲学者たちは長年にわたり、それが私たちの心が作り出しているものではないかと考えてきました。
アインシュタインの相対性理論になると話は一気に不可思議になります。アインシュタインは、時間は一定ではなく相対的である、という概念を提示し、私たちの時間に対する理解に革命をもたらしました。
光速に近づくと、時間は膨張したり遅くなったりします。また、ブラックホールの近くなど、重力ポテンシャルが変化する領域では、地球上とは時間の流れが異なります。
しかし、こうした宇宙現象が私たちの日常体験を覆すような形で時間を歪めているとしても、私たちの生活に最も直接的な影響を与えるのは、時間に関する主観的な経験です。そこで時間記録が役に立ちます。
主観的な時間の記録
時間記録とは、私たちが時間をどう使っているかを記録する方法です。おこなった活動とそれにかかった時間を記録することで、生産性の傾向を把握し、改善すべき点を見つけることができます。
しかし、時間管理の文脈では、実際に私たちが感じる「長く感じるか短く感じるか」「人生の流れの速さ」という個人的な主観的な体験は見過ごされがちです。
私たちは日常生活の中で、それぞれに時間の歪みを経験します。アインシュタインが言及したような時間の遅れではありませんが(光速で移動する宇宙船にあなたが住んでいる場合は別ですが)、私たちは時間の流れを速く、または遅く感じたりします。つまり、心理的な時間は、しばしば物理的な時間とずれてしまうのです。
私たちの時間の認識は、時計やカレンダーといった客観的な尺度とは関係なく、瞬間ごとに劇的に変化します。例えば、私たちは病院の予約を待っている時、「本当に時間が長い」と感じることがあります。
これを、あっという間に過ぎてしまう夜遊びや楽しい休暇と比べてみると、「楽しい時は時間が経つのが早い」という古いことわざの意味が理解できるようになります。
時間が早く過ぎるとき・・・
リモートワークの柔軟性がある今、私たちはもっと時間をプライベートにも仕事にも自由に使えると思うものです。それにもかかわらず、なぜか、すべてのことをするには時間が足りないと感じます。1日を振り返って「今日の時間はどこに消えたんだろう?」と思うこともあります。
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脳内のニューロンの発火速度が加速すると、時間があっという間にすぎていくように感じられます。このような瞬間には、脳が短時間に多くの出来事を処理します。この活動の高まりは、集中力、興奮、不安など、感覚が刺激され、情報を急速に吸収している激しい状況で起こります。
しかし、私たちは思っている以上に時間の知覚をコントロールできます。時間の記録を行い、意識的に時間を使うことで、時間の流れを効果的に「遅く」することが可能です。
新しいスキルを学んだり新しい情報を取り入れることで、時間感覚を取り戻し、時間がいつも自分の手からすり抜けていくように感じることがなくなります。
時間がゆっくり過ぎるとき・・・
記憶を形成したり、新しい情報を処理すると、時間の知覚は遅くなります。年齢を重ねると時間が早く感じられるのは、このためです。加齢とともに記憶の形成が減るため、時間があっという間に過ぎていくように感じるのです。
ある意味、ゆっくりした日は有益です。より多くの仕事をこなせたり、よりリラックスしたり、目の前のタスクにもっと慎重に取り組めたりするように感じるかもしれません。しかし、ゆっくりした日は、仕事に完全に没頭できなかったり、常に気が散ってしまうことを意味する場合もあります。
時間記録を使えば、すべてが慌ただしく感じられるときに主観的な時間を意図的に遅らせることができるように、この効果に対抗できます。
時間記録が時間の知覚に与える影響
タイムトラッキングは、仕事が忙しくてペースが速い日でも、ゆっくりとした退屈な日でも、一瞬一瞬を大切にするための貴重なツールです。タイムトラッキングソフトは、時間の使い方や、より効果的な管理方法に関する情報を提供します。さらに、タイムトラッキングは、私たちの時間に対する認識を様々な方法で形作る優秀なツールです。
- 今この瞬間に集中すること:タイムトラッキングは、目の前の作業に集中することを促します。集中力が高まることで、仕事の質が向上するだけでなく、1日のペースも管理しやすくなります。
- 目的意識とコントロール感:タイムトラッキングによって、時間の使い方を意図的に選択できるようになります。時間が勝手に過ぎていき私たちのコントロールできないものと感じるのではなく、自分でどう時間を使うか意識的に決断できるようになります。
- 時間を賢く使うモチベーション:タイムシートは、作業の進捗を示す具体的な証拠です。これがモチベーションとなり、時間配分を意識するようになります。タイムシートを振り返えることで、時間は管理できるペースで経過し、それは私たちのコントロール下にあるという信念を強化することができます。
- 自己規律によるエンパワーメント:タイムトラッキングは自己規律の訓練であり、境界線を設定し、それに従うことを求めます。この規律は、計画にコミットし、時間を無駄にすることなくやり遂げる能力を示すため、私たちを力づけてくれます。
- 「失われた時間」への不安を軽減:タイムトラッキングの最大のメリットの一つは、時間がムダに過ぎ去っていくという不安を軽減できることです。時間をどのように使ったかを明確に記録しておくことで、「失われた」時間に対する罪悪感や後悔を和らげることができます。将来を見据えると、時間はゆっくりと過ぎていくという安心感が得られます。
まとめ
忘れてはならないのは、時間記録の目的は長時間働くことではなく、継続的な成長と改善のマインドセットを持つことです。今この瞬間に集中し、気を散らす要因を減らすことで、生産性を高めるだけでなく、自分の内なる時計を制御し、仕事の1日をコントロールし、すべての瞬間を価値あるものにすることができるのです。