オフィス回帰(RTO)
メリット・デメリットと
成功に導く戦略
コロナ禍後の時代には、オフィス回帰(RTO)を義務付ける波が押し寄せました。その多くは、ボーイング、UPS、JPモルガン・チェースといった大企業によるものでした。もちろん賛否両論があり、強い反発も起きました。
現在、義務的なオフィス回帰の波は徐々に落ち着きつつある一方で、従業員を完全に、あるいは少なくとも一部の時間だけでもオフィスに戻す方法を依然として模索している企業は少なくありません。
その事情はよく理解できます。完全リモートワークというトレンドが、すべての企業のニーズに合うわけではありません。Jibbleの場合は、オフィス勤務から100%リモートへの移行が非常にうまくいきましたが、これはかなり幸運なケースでした。
ですから、自社の方針としてハイブリッド型を選ぶにせよ、フルタイムの完全出社に戻すにせよ、その移行には慎重に取り組むことが極めて重要です。ご安心ください。社内一の「嫌われ者」になることなく、その移行を進める方法は存在します!
この記事では、オフィス回帰という決断に伴うメリット・デメリットとあわせて、その実践的な方法を解説します。さっそく見ていきましょう。

画像出典:Jason Goodman、Unsplashより
オフィス回帰にはどのようなメリットがあるのか?
リモートワーク期間を経てオフィスに戻ることは、従業員と企業の双方にいくつかのメリットをもたらします。従業員の出社を促す際には、まさにこうした利点を最大限に活かしたいところです。
- ワークライフバランス – 多くの人にとって、オフィスに戻ることで仕事と私生活の境界がより明確になります。仕事を職場に置いて帰れるため、仕事のストレスを家に持ち帰るリスクが軽減されます。さらに、ハイブリッド体制なら在宅勤務日を柔軟に設定でき、周囲の目を気にすることなく、業務へのコミットメントと並行して私用をこなす余地も生まれます。
- 従業員の評価が高まりやすい – オフィスに物理的にいることで、存在感が増します。調査によると、リーダーの大多数(96%)は、リモート勤務者よりも出社している勤務者の貢献を認識しやすいことが示されています。対面でのやり取りが増えることで、リーダーが努力や成果に気づき、評価しやすくなり、キャリア形成の機会にもつながります。
- メンターシップ機会の充実 – 若手社員やキャリアの浅いプロフェッショナルにとって、オフィス回帰はメンターシップや実践的なコーチングを受ける機会を増やすことになります。経験豊富な同僚と同じ物理的空間を共有することで、日常の中での自然な学びや指導を受けやすくなります。
- 自発的なコラボレーション – メンターシップの機会が増えるだけでなく、オフィスにいることは、従業員同士がその場で偶発的につながり、交流の機会も増えます。コーヒーマシンの前でのちょっとした雑談や、廊下でのブレインストーミングなど、予期せぬ瞬間が新しいアイデアの創出、迅速な問題解決、そしてより強固な人間関係へとつながります。こうした交流は、リモート環境では再現しにくいコミュニティ意識や帰属意識の醸成に大きく寄与します。
- リソースへのアクセス – 従業員は必要なツールや機器、サポートにすぐアクセスできるようになります。必要なものがすぐ近くに揃っている環境では、業務プロセスが効率化され、不必要な作業の中断や待ち時間を大幅に減らせる可能性が高まります。
オフィス回帰にはどのようなデメリットがあるのか?
オフィス回帰にはメリットがある一方で、デメリットもあります。従業員に出社してもらいたいなら、次の主要な欠点にも対処する必要があります。
- 通勤の負担 – オフィス回帰の大きな欠点の一つが、毎日の通勤です。在宅勤務の利便性に慣れた従業員にとって、長い通勤に戻ること、渋滞に巻き込まれること、公共交通機関に頼ることは負担になり得ます。
- 柔軟性の低下 – リモートワークは、従来のオフィス環境では再現しにくい柔軟性をもたらしました。オフィスに戻ると、勤務スケジュールやプライベート時間に対する裁量が狭まることを意味する場合が多く、これは多くの従業員にとって決して歓迎できることではありません。
- 集中できる時間が減る – 会話、突発的なミーティング、カジュアルな交流はチームワークに有益な一方で、従業員の集中時間を妨げることがあります。
これらのデメリットを緩和するためにできることはいくつかあります。たとえば、フレックスタイム制を導入してピーク時の渋滞を避けられるようにするのも一案です。また、通勤手当を支給したり、車を持たない人向けにシャトルサービスを手配したりすれば、通勤に伴う金銭的や移動手段における負担を大幅に軽減します。
ハイブリッド勤務体制も、従業員に出社してもらいつつ、これまで慣れ親しんできた柔軟性をある程度維持するうえで有効です。
オフィス回帰を成功に導くための6つの戦略
出社義務化方針の導入は、決して容易なことではありません。しかし、やり方次第で成功させることは十分に可能です。それには、一方的な命令や強制に頼るのではなく、社内の透明性を確保し、労使双方がメリットを実感できるアプローチを取ることが重要です。ここでは、正しい方向性で一歩を踏み出すための具体的な戦略をご紹介します。
1. 意思決定に従業員を巻き込む
従業員が大切にされ、意見を聞いてもらえていると感じるほど、オフィス回帰を含む変化に賛同しやすくなります。
まずはアンケートや1on1ミーティングでチームと対話し、出社に関する考えや懸念を把握しましょう。どんな課題を想定しているか、何があれば移行がスムーズになるかを尋ねます。このアプローチは有益な洞察を得られるだけでなく、従業員の意見が重要であることを示すことにもなります。
2. 段階的なオフィス回帰移行を計画する
オフィスへの復帰をスムーズにするために、段階的なアプローチを検討しましょう。全員にすぐフルタイム出社を求めるのではなく、まずは週に数日からスタートすることで、変化による負担を軽減できます。
「コア出社日(必須出社日)」を設定し、それ以外の日はリモートワークを認めるハイブリッドモデルを導入するのも一案です。この段階的な移行期間を設けることで、従業員はオフィス環境に慣れつつ、リモートワークの柔軟性も享受できます。また、移行がどれだけうまく機能しているかを確認し、必要に応じて調整することも可能になります。
従業員が慣れてきたら、彼らのフィードバックや組織全体のニーズを考慮しながら、出社日数を段階的に増やしていくとよいでしょう。
3. 新しい対面の習慣(リチュアル)を作る
クリス・カポセラ氏によるハーバード・ビジネス・レビューの記事の言葉が、これ以上ないほど的確に表現しています。「オフィスの価値は場所ではなく人にある」。
オフィスに戻る最も説得力のある理由の一つは、同僚と再び接する機会が得られることです。人々は、職場の仲間との関係性や社会的な交流を実際に大切にしています。ですから、オフィスへの復帰を魅力的で有益なものにするには、新しい対面の習慣(リチュアル)を作ることが重要な鍵となります。
まずは、従業員が関係性を築き、強められる定期的な交流の場を導入しましょう。たとえば、週1回のチームランチ、コーヒーブレイク、カジュアルなブレインストーミングなどを企画できます。こうした集まりは、リラックスした雰囲気で交流し近況を共有できる場を提供するため、チームの絆を取り戻し、仲間意識を育むのに役立ちます。
また、成果や節目を一緒に祝うことも重要です。チームの成功や個人の貢献を、小さなオフィス内のお祝いで称えることで、士気が高まり、帰属意識も強化されます。
このような新しい対面の習慣を作ることで、オフィスを「従業員が実際に好んで戻りたい場所」に変えることができます。そうなれば、出社義務化方針を展開する際も、それほど苦労して受け入れさせる必要はなくなります。

画像出典:すしぱく、ぱくたそより
4. オフィスを生産性とコラボレーションの場にする
オフィス回帰の競争相手は自宅の快適さですから、正直かなうものではありません。とはいえ、オフィスをより魅力的で活気ある職場にする方法はあります。
オフィス空間でも柔軟性は重要です。チームワーク、ブレインストーミング、そして交流のための専用エリアを設けたオープンレイアウトを取り入れましょう。従来の会議室よりも、親しみやすく堅苦しくない雰囲気にするよう心がけてみてください。グループがどのように集まるかに柔軟性を持たせられるよう、可動式の家具やホワイトボードの追加を検討するのも良いでしょう。
こうしたコラボレーションスペースは、コミュニケーションやアイデア共有を促し、チームメンバー間のコミュニティ意識を育みます。
さらに、従業員が邪魔されずに作業へ集中できる静かなゾーンも確保しましょう。防音ブースや専用の静音ルームを用意することで、個々が集中しやすくなり、より効率的に仕事を終わらせるのに役立ちます。
5. テクノロジーでオフィス回帰移行を効率的に管理する
オフィス回帰の移行を支援するソフトウェアツールは数多くあります。中でも重要なのが勤怠アプリです。
勤怠アプリを使えば、従業員の出社・退社を簡単に追跡でき、全員が予定された出社日に従っていることを確認できます。顔認証付きの勤怠アプリを検討すれば、許可された人員だけがオフィスにアクセスしていることを確認することも可能です。
ジオフェンス機能も、検討する価値のある勤怠アプリ機能です。オフィス周辺に仮想的な境界を設定し、指定エリア内に従業員が物理的にいる場合にのみ時間が記録されるようにできます。
勤怠管理ソフトに加えて、コミュニケーションを途切れさせないためのコラボレーションツールの活用も検討しましょう。SlackやMicrosoft Teamsのようなプラットフォームを使えば、物理的な場所に関係なく、チームがつながり、更新情報を共有し、リアルタイムでプロジェクトに協働できます。これにより、従業員がオフィスへ戻る移行期間中でも、生産性とエンゲージメントを維持しやすくなります。
6. インセンティブを検討する
「従業員にインセンティブを与えずに出社を求める上司は、従業員をつなぎ留めておくのが難しくなるだろう」- ダン・ドログマン(Forbes)
インセンティブが嫌いな人はいませんよね。従業員の出社を促すうえで、インセンティブの提供は大きな効果があります。
まずは、チームにとって最も響くインセンティブは何かを考えましょう。柔軟な勤務時間、追加の有給休暇、定期的に出社する人への金銭的ボーナスなど、さまざまです。ギフトカードや会社のグッズといった小さな特典でも、感謝を示し、出社を後押しできます。
より快適なオフィス環境を作ること自体もインセンティブになります。無料のスナックやコーヒー、ウェルネスプログラムを提供して職場体験を向上させることを検討してみてください。カジュアルフライデーやチームランチのような、定期的な社内イベントやテーマデーを企画するのも良いでしょう。
ちょっとした追加の動機づけが、従業員に「大切にされている」と感じてもらい、実際に出社を楽しみにしてもらううえで大きな効果を発揮します。
前向きなオフィス回帰体験を作る
オフィス回帰は、従業員にとって常に最も歓迎される決定とは限りません。そのため、スムーズな移行を実現するには、十分な検討と慎重な計画が必要です。
従業員の懸念を理解し、先回りして対処することが鍵となります。明確にコミュニケーションを取り、インセンティブを提供し、前向きな職場環境を整えることで、移行の負担を和らげ、従業員がより容易に適応できるよう手助けすることができます。
これらのヒントが、オフィス回帰プロセスを進めるうえで役立てば幸いです。忘れてはならないのは、目標は従業員が「実際に戻りたい」と思える空間、すなわち、互いに協働し、アイデアを共有し、自分が大切にされていると感じられる場所を作ることです。